風営法の「接待」
世の中の法律の大半は解釈の違いによって、その法律が適用されたり除外されたりということがあります。その時は根本的な考え方や立法の趣旨などから判断します。また、一度解釈されたものは前例としてその解釈の仕方を踏襲するケースもあります。
風営法における「接待」もそういうもので、「一体どこまでやったら接待に該当するの?」と疑問にお持ちになるかもしれません。もちろん「接待」自体が大したことでないのでしたら、そういう扱いにもならないのですが、「接待」することによって、風俗営業かそうでないかという大事な要素になっているので、「具体的にはっきりさせてほしい」と思うのはあたりまえのことでしょう。
まず「接待」とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」とあります。はい。めっちゃわかりにくいですね。具体的な例も他のホームページを調べればいろいろとでてくると思いますが、それ自体も曖昧です。
風営法は、「年少者」「売春」「賭博」に関して、その温床となるような施設や営業形態に対して規制をかけるための法律であると私は考えます。憲法22条で職業選択の自由(営業の自由)が保障されていますので、どんな営業でも自由にできますが、「公共の福祉に反しない限り」という条件がありますので、その点を法律にしたのが風営法であると考えることができます。
そう考えると「接待」というのが「売春」や「賭博」に近づくような接客対応や営業スタイルにしていることに対して、規制をしていることであることが理解できると思います。
何をしているかだけを判断するのではなく、「お客様が何を期待するか?」もしくは店側が「何を期待させるか?」という点が重要であると思います。
具体的な例をあげさせていただくと、「出会い喫茶」と「相席居酒屋」です。この二つはどちらも、「店にこられた男性客が、店に来ている女性客と同席してお話をする」というものです。どちらもやっていることはほぼ一緒ですが、出会い喫茶は風俗営業、相席居酒屋は風俗営業ではありません。
相席居酒屋は健全であるかどうかは別ですが、少なくとも現在の状況では売春をイメージするような出会いを提供するようなところではありませんし、男女双方のお客様もそれを望んでいるとは思えません。
一方の出会い喫茶は、男性と女性が話し合うことは、「仲が良くなっていっしょにデートしよう」という健全なものではなく、「売春もしくはそれに近いような関係になろう」という交渉が、そこで行われているケースが多くなりました。また、店側もそういったことを目的とするような営業スタイルでしたが、当然売春の斡旋も罪になりますので、そのようなことをしているとは決していいません。また、喫茶店ということで年少者を入れることに対しても規制がないということから、年少者保護と売春防止の観点から風俗営業とされたという経緯があるのではないかと思います。
最初から「接待」ありで考えているのでしたら別ですが、そうでない場合は、そういうことを醸し出すような雰囲気をつくる営業スタイルを避けるようにしたほうがよいでしょう。スナックであるならば、男性も女性も入りやすくしたり、あえて男性と女性の料金を変えてみたりして、お店の人とわいわいがやがや勝手に楽しめるよというような雰囲気を作り出す店にすれば「接待」とは遠くなると思います。
もちろんそのような雰囲気を作っても、深夜0時以降に営業する場合は、「深夜酒類提供飲食店営業許可」が必要になりますので、お忘れなく。