同じような事件が2件発生しておりますので、ちょっとした解説を。
逮捕されている原因については、無許可営業であり、「接待」させていたというのが原因であります。
ここでは、なぜ無許可で営業するのか?その理由をいくつかあげたいと思います。
1.営業時間の制限
なんといっても第一位。風俗営業の許可をとった場合の営業時間は深夜12時(場所によっては1時)までとなります。深夜酒類提供飲食店営業の届出をしたガールズバーの営業時間は、24時間OKですので、深夜にお酒をメインで提供するお店としては、非常に悩ましいところです。簡単にまとめると、
どちらの許可、届出も警察管轄となっていますので、どちらも提出せずにガールズバーを営業しているということは、ほんとうのぼったくり店でないかぎりないと思います。
2.人的許可要件が満たせない。
風俗営業の許可をとるうえで、誰が営業の責任者なのかは非常に重要です。その責任者や経営者が欠格事由に該当すると、風俗営業の許可をとることはできません。
第四条 公安委員会は、前条第一項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
イ 第四十九条又は第五十条第一項の罪
ロ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十四条、第百七十五条、第百八十三条、第百八十五条、第百八十六条、第二百二十四条、第二百二十五条(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条、第二百二十六条の二(第三項については、営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条の三、第二百二十七条第一項(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二又は第二百二十六条の三の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)若しくは第三項(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)又は第二百二十八条(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二、第二百二十六条の三又は第二百二十七条第一項若しくは第三項に係る部分に限る。)の罪
ハ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第三条第一項(第五号又は第六号に係る部分に限る。)又は第六条(第一項第二号に係る部分に限る。)の罪
ニ 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二章の罪
ホ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪
ヘ 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第六十七号)第二条から第六条までの罪
ト 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百十七条、第百十八条第一項(同法第六条又は第五十六条に係る部分に限る。)又は第百十九条第一号(同法第六十一条又は第六十二条に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)又は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の規定により適用する場合を含む。)の罪
チ 船員法(昭和二十二年法律第百号)第百二十九条(同法第八十五条第一項又は第二項に係る部分に限る。)又は第百三十条(同法第八十六条第一項に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法の規定により適用する場合を含む。)の罪
リ 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第六十三条の罪
ヌ 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項又は第二項(同法第三十四条第一項第四号の三、第五号、第七号又は第九号に係る部分に限る。)の罪
ル 船員職業安定法第百十一条の罪
ヲ 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七十三条の二第一項の罪
ワ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第五十八条の罪
カ 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)第百八条の罪
三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
四 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
五 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
六 第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
七 第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
八 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該消滅又は返納の日から起算して五年を経過しないもの
九 第七号に規定する期間内に分割により同号の聴聞に係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)又はこれらの法人の同号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該分割の日から起算して五年を経過しないもの
十 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が風俗営業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び次号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
十一 法人でその役員のうちに第一号から第九号までのいずれかに該当する者があるもの
e-Gov法令検索 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
簡単にまとめると、
- 破産者
- 該当(イ~カ14種類)する禁錮、懲役、罰金の刑罰を受けて5年経過していない人
- 暴力、不法行為でなどに関する罪で公安委員会規則で定めることを行うおそれのある人
- アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤中毒者
- 心身の故障により業務を適正に行うことができないと公安委員会規則で定めた人
- 風俗営業許可の取消をうけた人で5年経過していない人
- 営業に関して成年と同一の行為能力を有しない未成年者
普通の人でしたら、該当することはないと思いますが、破産しているとか、未成年であるとかでしたら、もしかしたら該当している人いるかもしれません(いないと思いますけど)。
ただ今回は「なぜ風俗営業をとらなかった?」ということですので、以前に風俗営業をしており許可の取り消し処分を受けたとか、それらに関するなんらかの刑罰を受けていた可能性は高いかもしれません。
3.その場所では風俗営業の許可をとれなかった。
可能性としては低いのですが、その場所では風俗営業の許可がとれなかった可能性があります。
近くに学校、病院などの保全対象施設があった場合が原因です。
「物件を契約した後に、実はその場所では風俗営業の許可がおりなくて、やむを得ず深夜酒類提供営業に変更した。」ということもありえるかもしれませんが、なんか微妙な感じがします。
まとめ
他にも風俗営業の許可申請のほうが時間がかかるとか、単に許可申請にお金がかかるとか、ありえなくはない理由は存在しますが、上記3つの理由が大多数を占めるのではないかと思います。
最後にこの無許可営業による刑罰ですが、
となっております。風俗営業での罰則の中ではトップクラスです。
みなさんがもし、風俗営業をされるようでしたら、必ず風俗営業の許可申請をすることを強くおすすめします。